ステンレス軸受も錆びることがあります。ステンレスは「耐食性がある」材質であり、「どの環境でも絶対に錆びない」材質ではありません。塩分、塩化物、洗浄剤、残留水分、傷、異種金属との接触、保管中の結露によって腐食が進む場合があります。
よくある症状と確認点
| 症状 | 最初に確認すること |
|---|---|
| 洗浄後に橙色の染みが出る | 洗浄剤、塩化物、すすぎ、乾燥状態 |
| 未使用品に錆がある | 包装破損、結露、倉庫湿度、素手での接触 |
| シール付近だけ腐食する | 水分の滞留、シール損傷、すき間腐食 |
| 回転が粗くなる | 軌道面腐食、グリース流出、異物混入 |
錆を見ただけで材質が偽物だと判断するのは早すぎます。腐食の位置、色、発生時期、洗浄方法を記録し、使用環境から原因を絞ります。
材質による違い
440C や AISI 420 は、転がり軌道に必要な硬さと耐食性のバランスを取りやすい材質です。AISI 304 や AISI 316 は腐食に強い場面がありますが、同じ荷重・速度条件でそのまま置き換えられるとは限りません。材質比較はステンレス軸受の鋼種選定も参考にしてください。
洗浄環境での対策
洗浄液を軸受へ直接当て続けると、シール内部へ水分が入り、グリースが流出することがあります。洗浄後は水分が溜まる構造を確認し、十分にすすぎ、乾燥させます。シール材質と洗浄剤の相性、外部カバーの有無も重要です。
高圧洗浄では圧力が高いほど良いわけではありません。シールリップへ近距離から当てると、異物や水分を内部へ押し込む可能性があります。
保管中の腐食を防ぐ
- 密封包装を使用直前まで開けない
- 温度差が大きい場所への移動後は結露に注意する
- 床や外壁の近くを避け、乾燥した棚で保管する
- 素手で軌道面や金属面に触れない
- 開封品は清潔な防錆包装へ戻す
原因調査に必要な情報
型番、材質、使用期間、洗浄方法、薬品名、温度、錆の位置、シール形式、グリース状態を記録します。交換品を選ぶ場合は、損傷写真だけでなく、機械内での取付方向や水が当たる位置も伝えてください。