深溝玉軸受は、主にラジアル荷重を受ける軸受ですが、条件が合えば両方向の限定的なアキシアル荷重も受けられます。ただし、スラスト専用軸受ではありません。アキシアル荷重が大きい、連続する、方向が頻繁に反転する、軸位置の剛性が重要という場合は、別形式を検討します。
荷重が伝わる仕組み
アキシアル荷重が加わると、玉と軌道面の接触位置が変わり、軸方向の力を支えます。荷重が増えるほど摩擦、発熱、接触応力が高くなり、寿命計算に使う等価動荷重も変化します。
判断では、アキシアル荷重 Fa とラジアル荷重 Fr の比率だけでなく、型番ごとの係数、内部すきま、速度、潤滑、はめあいを確認します。一律の割合だけで安全性を決めることはできません。
使用できる可能性が高い条件
- ラジアル荷重が主で、アキシアル荷重は補助的である
- アキシアル荷重が急変せず、衝撃を伴わない
- 軸とハウジングの芯が合っている
- 運転温度と内部すきまが適切である
- 型番ごとの許容条件を確認できる
一般的な選び方は深溝玉軸受の用途で整理しています。
別形式が向く条件
一方向のアキシアル荷重が主荷重なら、スラスト玉軸受やスラストころ軸受を比較します。ラジアル荷重と大きなアキシアル荷重を同時に受け、軸位置の剛性も必要なら、アンギュラ玉軸受や円すいころ軸受が候補になります。
アキシアル荷重の方向が反転する場合は、単列軸受一個だけで決めず、対向配置や複列形式を含めて軸受配置全体を確認します。
異常の兆候
アキシアル荷重が過大になると、温度上昇、グリースの劣化、異音、保持器の摩耗、軌道面の変色などが起こることがあります。しかし、同じ症状は芯ずれ、過大な予圧、潤滑不足、はめあい不良でも発生します。分解前の温度、音、振動、運転条件を記録してから原因を切り分けてください。
確認して伝える情報
- 軸受型番とサフィックス
FaとFr、または荷重が生じる機構- 回転速度と運転時間
- 荷重方向が一定か反転するか
- 軸受が固定側か自由側か
- 内部すきま、はめあい、潤滑方法
- 温度、騒音、損傷写真
荷重値が不明でも、機械の構造と力がかかる方向を図や写真で示すと、適切な軸受形式を比較しやすくなります。